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マレーシアでの作業所所長の任を終え、5年振りに帰国して最初に住んだのが、
この石神井公園の近くでした。
昔、わざわざ電車に乗って遊びに来た石神井公園に、歩いて5分余りで来られることに感激しました。
熱帯の植物相とは違う、簡素な林や池に久しぶりに触れて、日本に帰ってきたと実感しました。
マレーシアで生まれた娘の幼稚園入園の頃は、桜がこの公園のあちこちに咲き誇っており、記念写真を
撮りましたが、こんな「桜の下で入園の記念写真」というのも、乾季と雨季しかないマレーシアでは
ピンと来なかった季節感で、感動したことを覚えています。
季節感といえば、帰国した年の冬、庭に初雪が積もった朝、娘を呼んでやると、びっくりした顔で、
「お父さん、乗っていいの」と聞きました。マレーシア生まれの娘にとっては、初めて見る雪でした。
すべての物の上にふんわりと積もっている雪は、娘にとっては幻想的で、別世界の物のように思えて
足を乗せるのを躊躇させるものがあったのでしょう。
親の私も、「あぁ、まさにこの子の初雪なのか。環境の違いは大変なものだなぁ」と驚くと同時に、
マレーシアでの似たような冬に関する経験を思い出していました。
ペナンでのクリスマスパーティーの席上、娘が急に私にしがみついてきたことがありました。
何事かと見回すと、サンタさんが娘にプレゼントを手渡そうとしていました。
人見知りをしない子なのに、どうしたのかと聞くと、「サンタさんが怖い」とおびえています。
サンタさんにはお詫びしてプレゼントを受け取り、後で娘に確かめると、「サンタさんの顔が黒かったから
怖かった」というのです。
なるほど、どの絵本を見てもサンタさんは白い顔で、娘が初めて見るサンタさんは、インド人が扮する
黒い顔のサンタさんだったので、びっくりしたというわけです。
多民族国家マレーシアでは、人口の二割はインド人で、このようなケースは日常です。
この時も、「環境の違いは大きいなぁ」と感じたことでした。
桜から雪、サンタさんへと思いは巡りましたが、季節感というものは有難いものだと思います。
マレーシア在勤中、朝日新聞の短歌欄に投稿して、入選掲載された腰折れを一首。
椰子影にかそけき風をたずねつつ
熱帯の地に名月を賞づ
お粗末さまでした。ちなみに当時は何首か入選掲載されましたが、帰国後はさっぱり入選しません。
家族からは、「マレーシア在住」が効いただけよ、と冷やかされています。
(03/12/01記)
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